黒子の観察者

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世界の広告費成長率予測!2018年にネットがTVを抜くと予想

電通の海外本社「電通イージス・ネットワーク」(以下「DNA」)が「世界の広告費成長率予測」を発表しました。 2018年にネット広告がTV広告を抜くと予想されている点がポイントです。

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電通イージス・ネットワークが「世界の広告費成長率予測」を発表

 

世界の広告費成長率予測 

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<市場動向>

  • 2017年の世界の広告費は昨今の経済情勢に鑑み、前回(2016年9月)予測の4.0%増から3.8%増に微減。2018年は、韓国・平昌での冬季オリンピック・パラリンピック大会やロシアで行われるFIFAワールドカップなど大型スポーツイベントの好影響もあり、2017年の伸びを上回る4.3%増と予測。
  • 世界最大の広告市場である米国の成長率は、大統領選のあった2016年の5.0%増に引き続き、2017年の成長率は3.6%増、2018年には4.0%増になると予測。また、世界の広告費に占める米国広告費の構成比は2017年に37.7%になると予測。
  • 世界第2位の広告市場である中国は、2016年の広告費は7.4%増と好調であり、2017年、2018年もそれぞれ6.0%増、5.4%増と堅調に成長すると予測。
  • インドは、主要国で唯一、2017年、2018年ともに2桁成長を予測。
  • 日本は、2017年、2018年ともに1.7%増と安定した成長を予測。 

<媒体別動向>

  • 媒体別では、2018年には世界のデジタル広告費が初めてテレビ広告費を超えると予測。デジタル広告費のシェアは37.6%、2,158億ドルに達し、テレビ広告費のシェア35.9%を上回ることになる。
  • デジタル広告費の内訳では、2017年にはモバイル広告費がデジタル広告費全体の56%に達し、パソコン広告費を抜くと予測。2025年にはスマートフォンの全世界での流通台数が40億台に達するという予測もあり、この傾向は続くと見られる。
  • デジタル広告費を牽引するのは、動画、SNS、運用型の広告であり、2017年の成長率はそれぞれ、32.4%増、28.9%増、25.4%増と予測。

 

ネット広告の成長は2社がほぼシェアを占める

電通の予測ではネット広告の存在感が増していることが理解できます。ただし、その市場は一部のプレイヤーが大半を占めていることを見逃せません。下記のグラフはDigital Content NextのJason Kint氏によるもので、2016年のネット広告の売上の内、GoogleとFacebookの合計が517億ドル(=376億ドル+141億ドル)に達していることを示しています。米国のネット広告売上高(725億ドル)の71.3%も占めています。

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単位:10憶ドル

(データソース:Digital Content NextのJason Kint氏、IAB+PwC) 図1 米インターネット広告の売上高(単位は10憶ドル)。2巨人(グーグル+フェイスブック)だけの売上高合計が、その他大勢の売上高総計を大幅に上回ります。2巨人による市場占有率が、最近の1年間でも拡大しています。

メディア・パブ: 米ネット広告売上が22%増と急成長なのに、グーグルとフェイスブック以外のメディア会社がゼロ成長なのはなぜ

 

ネット広告が伸びていることは周知の通りですが、その内訳にも注目してみると、2社の躍進が大きく寄与していることがわかります。