黒子の観察者

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【アドテク】アメリカの金融トレーダーが広告トレーダーに転身する理由

欧米を中心に海外のアドテク業界では金融機関のトレーダーがプログラマティック広告トレーダーとしてキャリアチェンジをするケースは少なくありません。日本でもマイクロアドがWantedlyに金融出身社員の対談を載せていましたが、何千万、億という金額を稼ぐ外資系金融からアドテク業界に転職、というケースは日本だとまず無いのではないでしょうか。実際、東京一工の文系学部で成績優秀なエリート学生の就職先としては外資系金融/コンサル、総合商社が一般的でIT業界のそれもアドテクに行きたいというエリート学生は超希少と言っていいでしょう。

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このような背景もあり、アメリカ人の広告トレーダーが金融業界出身とわかると「なぜキャリアチェンジしたのか」という質問をよくします。その解答のなかで多かったものを今回紹介したいと思います。

金融業界のトレーダーはとにかくストレスフル

最初にざっくりまとめると、ほぼこの一言に尽きます。もう少し具体的な理由は以下に紹介しますが、少なくともアドテク業界に移った彼ら彼女らにとっては非常に厳しい環境だったとのことです。数年前は同業他社に転職するつもりで転職活動をしていた人が結果的にアドテク業界に惹かれたケースが多かったようですが、近年では最初からアドテク業界を希望する金融トレーダーが多い印象です。

正直給与はアメリカでも金融トレーダーの方が高いとのことですが、超高額な給与を解放されたいほどのストレスだったということでしょう。アドテク業界の給与も日本と比べて数段良いので、下がったといっても許容範囲内なのかもしれませんが。。。

理由1:人間関係

多くの人が開口一番「People」を挙げていました。勿論辞めた側のバイアスがかかっているとは思いますが

「金融業界には金の事ばかり考えている嫌な奴が本当に多いし、自分はそうなりたくなくない。」

「自分の懐にお金をいかに入れるかが第一で、顧客や投資先のメリットは二の次と思っている人はいるし、そう教わったこともある」

という意見を聞きました。

さすがに否定されると思いつつ「ウルフ・オブ・ウォールストリートみたいな感じ?」と聞いて「まぁそんな感じ、クスリはやってないけどね(笑)」と返されたときはのけぞりました。

金融トレーダーは個人間の競争が激しいのに対してアドテク(インターネット?)業界では相互扶助精神を持つ会社が多い様で、そもそも彼ら、彼女らの性格が業界特性と合わなかったとも言えるかもしれません。金融業界から見たら逆の意見を持つかもしれませんが、少なくとも私が話を聞いた方々はみなとても気の良い優しい方々でした。

理由2:成長産業であること

 テクノロジー全般に言えることですが、とにかく成長速度がすさまじく、数年後には全く商材や市場環境が違う点が面白いと言っていました。確かに日本に置き換えても数年前は検索や純広告が全盛で、ここまでディスプレイのRTB市場が大きくなると思っていなかった方も多いんじゃないでしょうか。今後も動画やネイティブ広告が普通になり、新しいターゲティング手法も出たりと飽きることは無さそうですね。

とはいえ、今バズワードになっているFintechで金融業界の状況もどう変わるかも気になるところです。

理由3:西海岸に移住したい

金融のメッカであるニューヨークやシカゴは冬が異常に寒く、それを嫌ってカリフォルニアに住みたがるアメリカ人も多いです。とても単純な理由ですがニューヨークの真冬は理由としては十分すぎるとのこと。ちなみに転職や異動のたびに家族全員で移住をするのはアメリカでは普通のようで、「自然が好きだからオーストラリアに転勤させてくれ!」と申し出て、本当にオーストラリア支社に転勤した強者もいるみたいです。