黒子の観察者

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社会人三年目まだに知っておきたい!コーポレートガバナンス・コード

最近ちまたで話題になっているコーポレートガバナンス・コードとスチュワードシップ・コード。
それぞれどんな意味があるのか、解説します。
以前ROEについて解説した記事の中で、企業は株主を向いた経営になってきていることについて少し触れました。
www.blackwatcher.net
今回は、具体的にコーポレートガバナンス・コードについて解説します。
ざっくり2つのコードについてお伝えすると下記のようになります。
コーポレートガバナンス・コード・・・株主や投資家に対する責任として、企業が守るべき行動原則。
スチュワードシップ・コード・・・資金提供者に対する責任として、機関投資家がとるべき行動原則。
2015年6月に日本の全上場企業に対して適用が始まった東京証券取引所が定めた上場規則です。
下記のような構成になっています。
・5つの基本原則
・30の原則
・38の補充原則
本文だけで21ページ、1万5千字以上のボリュームでかなり多くの内容が盛り込まれています。
この原則にはどんな狙いがあるのでしょうか。
それは中長期にわたり企業の収益力を高め企業価値を向上させたるという狙いがあります。
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なぜコーポレートガバナンス・コードが企業の収益力向上という目的をもって策定されたのか。
日本の企業の収益力が、2011年以降回復傾向にあるものの、全体でみるとかなり長期にわたって低下してきたためです。
収益力低下が労働者や投資家への配分を下げることにつながり、経済の停滞を招いた原因の1つに成ったとの認識が広まってきました。
コーポレートガバナンス・コードは日本政府の成長戦略の一環として策定されました。本来は企業自ら自律的に実行しなければならない収益力の向上を、政府が指揮を取って、行動原則を策定したところに特徴があります。
社員にとってどんな影響があるのか
独立社外取締役を採用している上場企業数が2015年6月時点で東証一部上場企業の8割を超え、また2名以上の選任企業も45%を超えました。1年前と比較して2割以上増加しています。コードの適用開始をにらみ、持ち合い株式の解消を勧める事業会社も増えるなど、企業経営に大きな影響を与え始めています。
普段現場で働いているとわかりにくいですが、上場している企業では、直接的ではないにしろ、少なからずトップが社外取締役の影響で意思決定をされることが増えてきます。
上場企業で働く方であれば、自社がどんな役員や社外取締役で構成されているのか今一度見てみることをおすすめします。
確認される際のポイントは」経歴です。その役員や社外取締役が何をこれまで経験してきているのか、事業会社にいたのか、学者出身なのか、営業か技術畑かなどによってかなり変わります。
自分の会社の船頭を今一度確認してみましょう。
【参考資料】
■参考図書
堀江貞之『コーポレートガバナンス・コード』2015年、日本経済新聞出版社
松田千恵子『これならわかるコーポレートガバナンスの教科書』2015年、日経BP
北川哲雄『スチュワードシップとコーポレートガバナンス2つのコードが変える日本の企業・経済・社会』2015年、東洋経済新報社
■参考PDF
金融庁『事務局説明資料』2015、